情報を映像で「伝える」から「楽しむ」時代へ
~第10回福岡産業デザイン賞・優秀賞/インターフェース賞受賞~
北九州ファッション協会の会員であり、ホームページサイトの制作・運営を担当する(有)BOND。そのソフトウェア商品「Character Communication Creator」が、2008年度の福岡産業デザイン賞・優秀賞/インターフェース賞を受賞したというニュースが飛び込んできました。優れたインターフェースとして評価された「Character Communication Creator」とはどんな商品なのか、どんな可能性を秘めているのか。代表の古川ひろ美さんにお話を伺いました。
(以下敬称略)
有限会社BOND/代表取締役・グラフィックデザイナー
古川 ひろ美さん
[Profile]
1960年北九州市小倉生まれ。1980年九州産業大学芸術学部卒業、河地知木研究室。同年(有)古川写真印刷に入社。視覚統合による経営戦略を専門とし、各種印刷・屋外広告・WEB・プログラム・IT推進等、情報媒体を創造企画する。2004年ユニバーサルな基盤営業から促進営業のためのデザイン×システム戦略を提案。2006年より、社名を有限会社BONDに改め、プライベートジェット機販促物提案等、意匠計画における専門性の高いbrain体制をスタート。同社代表取締役兼グラフィックデザイナー・情報プランナー。
2008年の1年間、福智高等学校(田川市)でデザイン実習演習とCGデザイン実習演習の講師を務めた。
http://f-bond.co.jp/
インデックス
- 3DCGアニメーションを誰でも簡単に作れる画期的なシステム
- 映像情報は今、「伝える」から「楽しむ」時代へ。
- 東京に先んじて、まず北九州から運用事例が出れば…。
- 情報をいかに分かりやすく伝えるか。それも私たちの課題です。
3DCGアニメーションを
誰でも簡単に作れる
画期的なシステム「Character Communication Creator」。
重岡・福岡産業デザイン賞 優秀賞の受賞おめでとうございます。まずは受賞の際のエピソードなどを伺いたいのですが…。
古川・福岡産業デザイン賞の歴史の中でも初めてのソフトウェア受賞となったこと、そしてこのインターフェースデザインを高く評価してくださった皆さまに、まずは感謝の気持ちを申し上げたいですね。本当にありがとうございます。審査の時には、「この商品の良さを分かってもらえるだろうか」と不安もありましたが、福岡県工業技術センター機械電子研究所の所長でいらっしゃる平田敬一郎さんに興味を持っていただきまして…。他の審査員の方々が、私どもの商品の前を通り過ぎた後にわざわざ引き返してこられて、「素晴らしいですね」と激励してくださったんです。説明の時間が足りず、審査員の方々に「待って!もう少し話を聞いて!」と言いたいムードの中だっただけに、嬉しかったですね。そんな状況でしたので、受賞は本当に思いがけないものでした。
重岡・受賞した「Character Communication Creator」について、簡単にご説明いただけますか?
古川・キャラクター・コミュニケーション・クリエーター(Character Communication Creator)は、キャラクターを用いた3DCGアニメーションを誰でも簡単に作れる映像コミュニケーションシステムです。運用者は映像制作のスキルがなくても、シナリオと静止画、動画、音声素材を入力するだけで、映像情報をリアルタイムに生成できます。実際にCharacter Communication Creatorを使って、このシステムを説明したものが弊社のホームページにアップされていますので、こちらをご覧いただくのが分かりやすいかと思います。(http://f-bond.co.jp/cg)
映像情報は今、
「伝える」から「楽しむ」時代へ。
重岡・福岡産業デザイン賞の中での平田敬一郎さんの審査員講評も分かりやすいですね。CG映像と音声などを融合して情報を提供する画期的なコミュニケーションツールであること。CG映像は、新しく開発されたエンジンを用いることで安価なパソコンでも驚くほどハイクオリティな映像がリアルタイムに生成できること。音声は3Dサラウンドシステムを導入し、フル3DCG映像作成ツールとして高い完成度を持っていること。さらに、CG映像上のキャラクターの動作やセリフなどはシナリオを書くことで簡単に制御できること。「ホームページや携帯動画、デジタルサイネージ制作など、モニターがあれば、どこにでも新しい情報配信映像が提供できる優れたシステムである」と評されていますね。
古川・専門の方に「これは革新的なことだ」と高い評価をちょうだいしたことは、大きな自信につながりました。と申しますのも、弊社はもともとこういうソフトウェアを作る会社ではないという前提があるからです。創業は1950年。古川写真印刷工芸社として、北九州市でオフセット印刷会社を開業したのが始まりです。ところが時代の流れが変わり、情報がデジタル化されるにつれ、印刷物だけでなく、印刷物をWeb上にあげた電子カタログやホームページの制作、携帯サイトの構築など、変化し続ける時代に沿った多岐にわたる情報媒体を創造することが求められるようになってきました。私たちは、デザイナーとクリエーターが中心になって、いつの時代もお客さまの情報をより訴求力豊かに、いかに低コストでエンドユーザーに提供できるかということを追求しております。その結果、生まれたのが今回のソフトウェアパッケージなのです。総務省の調べによれば、’06年のコンテンツ(メディアソフト)の市場規模は、11兆4494億円。映像系・音声系を中心に市場規模は今後も拡大が予想されています。だからこそこれからのBONDは、映像情報を「伝える」から「楽しむ」、そのための技術開発と最先端のサービスの提供を目指したいと考えています。
重岡・今回の開発の中で、古川さんとしてはどういう点に気を配られましたか?
古川・ソフトの開発は、弊社の技術者の佐藤寛之が担当いたしました。私はグラフィックデザイナーという視点で、この技術の市場性やお客さまの売上にどうつながっていくか、という点を追求。つまり「この技術、すごいね」という話で終わるのではなく、「この技術が必要だね」とお客さまに思われる「ものづくり」に専念しました。私たちデザイナーの目からすると、厳しい時代こそ広告って必要なんです。不況になると広告費から削減という話になりやすいのですが、それは広告の訴求力や質を見直すことで解決することもできると思うんです。であれば、ますます情報は洗練されたものが求められますし、私たちはそれに対応していかなければならない。お客さまに「これからの時代、これが必要だね」と言われるものであることも、「Character Communication Creator」が目指した到達点です。
東京に先んじて、
まず北九州から
運用事例が出れば…。
重岡・「Character Communication Creator」の運用の可能性としては、どういう場が考えられるでしょう?
古川・メリットとして挙げられるのは、3DCGのキャラクターの存在感がリアルであること。また自由自在にカメラを動かしてテレビ番組のように演出できること。サウンドがハイグレードであること。シナリオ入力画面が単純で誰もが簡単に操作できること。通信環境でも運用が容易であるほどデータが軽いこと。リアルタイムな情報をすぐに映像に対応させることができること。日本語だけでなく英語にも対応できること。デジタルサイネージや独立型PC機器、Web上などさまざまなモニターに対応できるので利用シーンが多彩であること。これらを踏まえると、テレビ番組のリアルタイム収録にも適していますし、デジタルサイネージ制作にも適しています。このほか人が集まる街頭や駅、空港などでのアプローチ、百貨店や病院のインフォメーション、分かりやすい説明義務が求められる行政関係や金融機関、保険会社などでも新たな情報の伝達手段になります。また、データが軽いことからチップに組み込むこともできるので、機械・工業技術との共同企画や開発にも適しています。
重岡・なるほど、活用の場も多岐にわたりますね。現状、反響はいかがですか?
古川・東京は映像広告が盛んですので、反応もいいですね。ですが、ある方から「今回、こうやって受賞したことを、北九州市に報告する義務があるのでは」と助言いただきまして、さっそく市の秘書室にもご報告させていただきました。そこでもこの技術に興味を持っていただき、いろいろとありがたいアイデアもちょうだいしたんですよ。
また、これは以前に伺った話ですが、東田にあるヒューマンメディア財団さんでも、「人+IT=いい感じの社会」を目指しておられて、設立の背景には「IT技術を市民の皆さんが年齢問わず、水道やガスを使う感覚で使いこなせるようになれば…」というお考えもあったと聞いております。もちろんアナログ的な人と人との交流も忘れずに、ですね。IT産業が次代の北九州を担う産業として栄えていくことは何よりだと思っていますので、今回の「Character Communication Creator」の運用についても、東京より先んじて、まず北九州から画期的な運用事例が出せたら、と思いつつがんばっているところです。
重岡・北九州発祥の技術をまず北九州で。ぜひ実現してほしいですね。
古川・北九州発祥の技術やものって、結構いろいろあるんですが、皆さん「この街を何とかしたい」「うちの会社を何とかしなくちゃ」と一生懸命考えた結果が新しい技術やものを生み出しているんだと思うんですね。遠方の方から見て、「北九州がんばってるね」とか「北九州っておもしろいことがいっぱいあるよ」とか、そんな風に思われる引き金に「Character Communication Creator」がなってくれたら、と思います。
いろいろと小難しいことを言いましたが、私としては、BONDは、「カウンターだけの一杯立ち食い茶漬け屋」的な存在でありたいと思っているんです。IT技術だ、画期的なシステムだ、って気取るんじゃなくて…ね(笑)。お茶漬けのように、美味しいところをパッと食べて、サッと仕事に行ける。そんなシンプルさがありがたいと思っていらっしゃるオーナーやクライアントの気持ちに即した情報デザインを創っていきたいと思っています。
ファッション協会の情報を
いかに分かりやすく伝えるか。
それも私たちの課題です。
重岡・BONDさんには、北九州ファッション協会のサイトの運営でもご助力いただいていますが…。
古川・はい。お話をいただいて、IT部会の皆さまと一緒に作らせていただいております。協会自体は設立20年になるとのことですが、私どもはまだ入会したばかりの1年生でして…。まだまだひよっこではありますが、「この組織はこういう目的や、こういう想いで設立されたんだよ」という先輩方の想いは、私たちのような1年生にもしっかり受け継がれていないといけない、と思っています。機会があれば、設立当初からの先輩方にその辺りのお話を聞かせていただいて、その情報の「芯」がぶれないカタチで私たちも活動していけたらいいな、と思っております。
重岡・北九州ファッション協会で、今後取り組んでいきたいことなどはありますか?
古川・私としては、デザインとは見た目だけのことではなく、お客さまの情報をいかに市場に訴求していくかという流れを作っていくこと。その全体が「デザイン」であると広義に捉えておりますが、「デザイン」という言葉同様、「ファッション」という言葉も、一般の人々の間ではいろんな捉え方の温度差がある言葉ですよね。北九州ファッション協会が掲げる、文化や生活の質という広義の意味だったり、もっと狭い意味だったり。そのファッション協会の存在意義や価値、情報を、私どもが関わらせていただく中で、どこまで分かりやすく伝えていけるかという点は、今後の課題であると感じています。
重岡・最後になりましたが、北九州ファッション協会へのメッセージをお願いします。
古川・関わらせていただいて日が浅い中ではありますが、ファッション協会の役割の一つに、若い人たちを含め、いろいろな能力ある人々を発掘していく場、というのもあるんじゃないかと感じています。ですからもっと多くの皆さんに気軽に参加していただいて、一緒に街を盛り上げていくような仕組みを作っていくべきでは、と感じています。これまでの固定概念に捕らわれすぎず、新しい北九州を作っていく。そのエネルギーも技術も、そして人の力も、北九州には備わっていると私は思います。
─ありがとうございました。
■カメラ:北九州商工会議所 まちづくり推進課 三好 伸広
■聞き手・文責:Brain Child 重岡 美千代
![k-fa.org[ケイファ.オルグ]北九州ファッション協会](http://k-fa.org/wp/wp-content/themes/kfa/images/rogo2.gif)





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